― 成績不振の子を上げるのは簡単。でも、そこからが本当の勝負 ―
中間テストの結果が出ました。
今回、なんと学年トップ10位と、学年最下位10位の両方に当塾の生徒が入りました。
こういう塾も、なかなかありません。
これは事実です。
「数学の点数が3倍になりました!」
この言葉だけを見ると、誰もが「すごい!」「うちの子も!」と思うでしょう。
でも、少し冷静に考えてみてください。
実は、“3倍”という言葉には、数字のマジックが隠れています。
0点から40点台に上がるのは、実はそこまで難しくありません。
もちろん、本人は本当によく頑張りました。
勉強に意欲が出て、「勉強が楽しくなった!」と言ってくれたことは、何よりも価値のある成果です。
この子にとっては、まさに“100点を取った気分”でしょう。
成績が上がる=努力が報われた、とは限らない
よく「うちの子、点数が上がったんです!」と嬉しそうに報告してくれる保護者の方がいます。
もちろん、それは素晴らしいことです。
けれども、「成績が上がった」という結果だけを見て安心してはいけません。
なぜなら、本当の意味での“実力アップ”は、点数が上がることではなく、
安定して高い点を取り続ける力を身につけることだからです。
70点から90点は、別世界
ここで「パレートの法則(80:20の法則)」という考え方があります。
成果の80%は、全体の20%の努力から生まれる。
逆に、残りの20%の成果を得るためには、80%の努力が必要になる。
学習にも、まさにこの法則が当てはまります。
最初の40点アップは、意欲と基礎の理解で十分可能です。
しかし、70点から90点へ上げるには、指導者も生徒も“質の違う努力”を積み重ねる必要があるのです。
ここからが本当の勝負。
「何を、どこまで突き詰めるか」が問われる段階になります。
点数よりも、「努力の質」を見る
成績が急に上がることは悪いことではありません。
むしろ、自信を取り戻す大きなチャンスです。
でも、そこで満足してしまってはもったいない。
指導する側も、「点数を上げる」だけで終わらせてはいけません。
次のステップは、“上がった成績を維持し、さらに伸ばす力”を育てること。
ここにこそ、教育の本質があります。
おわりに
成績不振の子をある程度上げるのは、実は難しくありません。
けれども、70点から90点を目指す過程には、見えない努力と忍耐が必要です。
「点数が上がった」という一瞬の結果に惑わされず、
「その先にどんな力が育っているか」を見つめること。
それが、本当の意味での“成績アップ”なのです。