能力は決して低くありません。むしろ、理解力も高い子です。
それなのに、中学生になっても「正負の数」すら十分に理解できていない。
英語も問題はできても、中身が理解できていない。
なぜなのか。
指導していく中で、その原因の一つが見えてきました。
AIの使い方でした。
正確には、AIに「答えを聞く」ことが勉強になってしまっていたのです。
今の時代、AIを使うこと自体は悪いことではありません。
むしろ、私はAIを積極的に活用しています。
例えば面接練習では、AIにはできない部分を意識して、実際の人とのやり取りの中で考える、話す、伝える練習を徹底しています。
AIを否定するのではなく、AIを使いこなしながら、人間にしかできない力を伸ばす。
これが、これからの学習には必要だと考えています。
一方で、学習面では非常に気になる使い方があります。
それが、
「わからないことがあったら、とりあえずAIに答えを聞く」
という勉強です。
もちろん、問題がわからないときに解答を見ることは悪いことではありません。
むしろ、ある程度考えてもわからないのであれば、解答を見て、
「なるほど、そういうことか!」
と理解することは、とても大切な学習です。
問題なのは、その先です。
AIから答えを教えてもらう。
「なるほど」と思う。
そして、次の問題へ。
これを繰り返していると、「わかったつもり」にはなっても、「自分で解ける」ようにはなりません。
今回もまさにそこでした。
能力が低いわけではありません。
むしろ、きちんと考えさせれば理解できる力があります。
ところが、これまでの学習の中で「わからない→AIに聞く→答えを見る」という習慣ができてしまい、自分で考えて、間違えて、理解し直すという過程が抜けていた。
その結果、基礎の基礎である「正負の数」さえ、十分に身についていませんでした。
これは、かなり大きな問題です。
そして、今どきの子どもたちにとっては、決して他人事ではありません。
友達同士で
「これ答え何?」
「AIに聞けばいいよ」
となってしまえば、なおさらです。
これでは、いくら勉強時間を増やしても、成績は伸びません。
答えを知ることと、問題が解けるようになることは、まったく別だからです。
AIは、答えを出すことができます。
しかし、
「なぜその答えになるのか」
「自分はどこで間違えたのか」
「次に同じ問題が出たら、自分一人で解けるのか」
ここまで考えなければ、本当の意味での学習にはなりません。
だからこそ、塾ではAIの利用を禁止するのではなく、正しい使い方を教えていきたいと考えています。
まず自分で考える。
↓
どうしてもわからなければ、解答やAIを使う。
↓
「なるほど、そういうことか」と理解する。
↓
答えを閉じて、自分でもう一度解いてみる。
↓
なぜその答えになるのか、自分の言葉で説明する。
ここまでやって、初めて「勉強した」と言えると思っています。
そして、保護者の皆さまにもぜひ知っておいていただきたいことがあります。
「机に向かっている時間」だけを見ても、学習の実態はわかりません。
何時間勉強したかより、
「どうやって勉強したのか」
のほうが、ずっと重要です。
AIに答えを聞き続けているのか。
友達と答えを教え合っているだけなのか。
解答を見て「わかったつもり」になっているのか。
それとも、自分で考え、間違いを確認し、理解し直しているのか。
ここには、大きな差があります。
今の子どもたちは、私たちが子どもの頃とは違う環境で勉強しています。
AIも、検索も、動画も、便利な学習ツールもすぐそばにあります。
だからこそ、昔のように
「とにかく自分で全部やりなさい」
だけではなく、
「便利なものは使う。でも、考えることは手放さない」
という学び方が必要です。
AIを使うことを怖がる必要はありません。
むしろ、これからはAIを使えることも大切な力になります。
ただし、
「AIに答えを出してもらう力」と
「AIを使って、自分の力を伸ばす力」は違います。
塾では、後者を身につけてもらいたいと思っています。
そして、ご家庭でもぜひ、
「今日は何時間勉強したの?」
だけではなく、
「今日はどうやって勉強したの?」
と聞いてみてください。
学習時間では見えないところに、子どもの本当の学力が隠れています。

