「私は、あの子には負けない。」
「だって、私のほうが成績はいいはず。」
「勉強していなくても、あの子に負けるはずがない。」
そんなふうに思っていた子がいました。
もちろん、本人が口に出したわけではありません。
でも、日々の様子を見ていると、なんとなく伝わってくるものがあります。
自分のほうができる。
自分のほうが上。
あの子には負けない。
そんな気持ちが、どこかにあったのだと思います。
ところが――
今回、学年の中で、いい成績を取ってきたのは、その「あの子」でした。
しかも、
「自分より下だと思っていた子」。
「自分が負けるとは思っていなかった子」。
その子が、一番だった。
これは、かなり悔しい。
いや、悔しくないわけがありません。
「勉強していないのに、できる」は、いつまでも続かない
中学1年生のうちは、まだ小学校までの「貯金」で戦えることがあります。
小学校のときに成績が良かった。
もともと理解が早い。
英語を習っていた。
そういう子は、中学校のスタートでは有利です。
だから、
「そんなに勉強していないけど、まあまあできる。」
という子もいます。
そして、いつの間にか、
「自分は勉強しなくても大丈夫」
と思ってしまう。
でも、ここに落とし穴があります。
中学2年生、3年生になると、そう簡単にはいきません。
覚える量も増える。
内容も難しくなる。
小学校までの地頭や貯金だけでは、どうにもならないところが出てきます。
そこで出てくるのが、
「努力の差」です。
「格下」だと思っていた子が、努力していた
今回、一番になった子は、
もしかしたら今まで「自分よりできない子」と思われていたのかもしれません。
でも、その子はやっていた。
少しずつでも勉強していた。
わからないところに向き合っていた。
積み重ねていた。
その結果が、今回の順位として出てきた。
一方で、
「自分のほうが上だから大丈夫。」
「勉強しなくても負けない。」
そう思っていた側は、そこで初めて気づく。
あれ?
私、負けた。
しかも、
負けるはずがないと思っていた相手に。
これは、かなり大きな出来事です。
悔しいなら、それでいい
私は、こういう「悔しい」を大切にしたいと思っています。
「なんであの子が?」
「次は負けたくない。」
「自分だってもっとできるはず。」
そう思ったのなら、
今度は勉強すればいい。
今日からやればいい。
誰かを見下す必要もない。
誰かと比べ続ける必要もない。
ただ、
「次は自分がどうするか」
です。
そして、今回悔しい思いをした子たちは、今日も勉強しています。
これが一番大事なことだと思います。
まだ逆転は何度でもできます。
今、成績がいいからといって安心してはいけない。
今、成績が悪いからといって諦める必要もない。
「あの子には負けない」
と思っていた相手に負けた。
その悔しさを、
「じゃあ、次はどうする?」
に変えられる子は強い。
そして、今日一番だった子も、ここで満足してはいけない。
一番になったことよりも、一番になるために何をしたのか。
私は、そこを見ています。
勉強は、才能だけの勝負ではありません。
そして、
「自分より下だと思っていた子が、自分より上に行く」
という経験は、子どもを大きく変えることがあります。
悔しい。
だから、やる。
その繰り返しの先に、本当の力がついていくのだと思います。


